チャンピオンズ
ムエタイの妙味を世界で魅せる男ラムソンクラーム・チューワッタナ
ラムソンクラーム・チューワッタナ
LAMSONGKHRAM CHUWATTANA
1983年12月12日生まれ(24歳)
WBCムエタイ世界ミドル級王者
日本、中国、ベルギー、アメリカ、イギリス、キルギスタン‥。WBC世界ムエタイミドル級王者ラムソンクラーム・チューワッタナは世界を股にかけて暴れ回るナックムアイだ。
「一番気に入った国はキルギスタン。理由? 気候が良かったからね。海外ではタイよりサインや握手を求められることが多い。正直、僕にとってはタイより外国でファイトする方が楽しいよ。どこの国にも共通していえることだけど、向こうの人々は僕がハイキックやヒジ打ちを決めたらすごく喜んでくれる」タイでムエタイファンといえば、ギャンブラーを指す。純粋に試合内容を楽しむというより、ラウンドごとに変動する賭け率に一喜一憂する輩があまりにも多いのだ。
一昔前までは必ずしもそういうわけではなかったようだが、タイのムエタイがギャンブルと密接に結びついていることは紛れもない事実だ。そうした傾向をラムソンクラームは嘆く。
「タイと違って海外ではムエタイをひとつの格闘技や芸術として見てくれる。個人的にギャンブルとしてのムエタイは好きじゃない。タイ政府も力を入れてスポーツとしてのムエタイを確立してほしい」
かつてラジャダムナンスタジアム認定ミドル級王者として活躍したラムソンクラームに「ラジャとWBCのベルト、どっちが好き?」と訊くと、小声でWBCと答えた。
「ラジャのベルトだと挑戦者はタイ人ばかり。対照的にWBCの挑戦者は外国人が中心。それに仮に負けたとしてもいい試合を見せたら、温かい声援を飛ばしてくれる。タイだったら、関係者やギャンブラーたちにムチャクチャ怒鳴られますからね。個人的に今度はフランスでWBCの防衛戦をやってみたい。あの国には僕と同じクラスのナックムアイがたくさんいると聞いているので」
長身(183センチ)と長いリーチを活かした前蹴りやヒザ蹴りは強烈無比。長期政権を築き上げそうな勢いのラムソンクラームだ。