WBCムエタイルール
ルール1 リングとステージ
- 1.1
- リングとは、試合を行う場所である。よって、障害物が無く水平で、強度、安全性の徹底の上、リングの床部分はロープ部より最低90センチ以上の広さを確保しなければならない。
- 1.2
- リングの床部分は会場床部分より最低でも1.20m以上、1.50m以下に位置しなくてはならない。それぞれ4箇所のコーナーに関してのコーナーポストは、直径10~12.5cmとし、高さはリング床部分より2.70cm以下でなければならない。リングの床部分は2.50cm~3.75cmの厚みのゴムまたは柔らかい布製のマットやスポンジ等の柔らかいマットを全面に敷き、マット全面をキャンバス地で硬く覆った状態にしなければならない。
- 1.3
- リングの位置としては、赤コーナーをリング・オフィシャル席の左側、青コーナーは反対側に位置させ、それ以外の2つはニュートラルコーナーとする。
- 1.4
- 4箇所のリングポスト間のロープは直径3.0cmから5.0cmとし、滑らかで柔らかい素材でカバーし、4箇所のリングポスト間をしっかりはわせなくてはならない。ロープは床から45cm、75cm、1.05cm及び1.35cmをそれぞれ各ロープの最上部に位置させる。各サイドのロープの上部は3~4cmの2枚の布で同等の幅になるように硬く結ぶ。これらの布はロープを支えるために硬く結ぶ。4つの全てのコーナーは、クッション機能のあるパッドまたは他の素材により覆い、選手の怪我を阻止しなければばらない。選手、セコンド、レフリーやリング・ドクターがそれぞれ必要時にリング上に上がる為に、赤コーナーに1つ、青コーナーに1つ階段を用意しなければならない。
- 1.5
- 2つのニュートラルコーナー(リングの外)に、レフリーがコットンやその他不必要となったものを捨てる為にそれぞれプラスチックあるいは同等の素材で出来ている箱を設けることとする。
- 1.6
- ステージ部分もリングの一部と見なす。ロープの内側部分から測り、小さいステージの場合は6.10m×6.10m、大きいステージの場合は7.30m×7.30mとする。
ルール2 試合時に準備するもの
- 2.1
- 選手用のイス(肘のない腰掛)2個
- 2.2
- リングを拭く為のモップ及び選手の足拭き用のタオル 2枚
- 2.3
- 選手の飲料用小さなボトル及び霧吹き 各2個
- 2.4
- タオル 2枚
- 2.5
- 水用のバケツ 2個
- 2.6
- リング・オフィシャル用いすとテーブル
- 2.7
- 試合用ベル
- 2.8
- ストップウォッチ 最低1個
- 2.9
- スコアーカード
- 2.10
- スコアーカードを入れる鍵付きの箱
- 2.11
- ラウンド、試合時間及び試合結果を記載する用紙
- 2.12
- グローブ 2個
- 2.13
- ボクシング・ショーツ それぞれ2枚(赤&青)
- 2.14
- ファールカップ 2個
- 2.15
- ファールカップがずれた場合やショーツに問題が生じた場合に使用するスクリーン 2個
- 2.16
- ストレッチャー(タンカー)
- 2.17
- 安全はさみ
- 2.18
- 試合進行上必要とされるその他のもの(例:マイクとスピーカー)
ルール3 グローブ
- 3.1
- 試合に使用されるグローブは重さの1/2以内の皮の使用とする。残りの1/2は内部のパッド部分等の重さで構成されたグローブとする。グローブの内部の形を変えたり、内部のパッド部分を薄くしたりすることは禁止する。
- 3.2
- 試合時使用のグローブはプロモーターより支給され、リング・オフィシャルより使用許可を得たグローブのみとする。
- 3.3
- 使用グローブの大きさに関しては、以下の通りとする。
- 3.3.1
- ミニフライ級からスーパーライト級まで8オンス
- 3.3.2
- ウェルター級以上10オンス
- 3.4
- グローブの紐はグローブの表側で硬く結ぶ。選手はインスペクターによるグローブチェックを受けた後、インスペクターはグローブに検査済みと記し、選手がリングに上がるまでこの状態が保たれるよう管理する。
ルール4 バンテージ
- 4.1
- 試合中、選手は両手を長さ6m以下、幅5cm以内の柔らかい素材のバンテージで巻かなくてはならない。
- 4.2
- 試合中、選手は長さ2.5メートル以下、幅2.5cm以内の絆創膏や粘着性のテープを手首もしくは手のひら部分に使用しても良いこととするが、拳部分への使用は一切許可しないこのとする。
- 4.3
- 試合時使用のバンテージは、リング・オフィシャルより使用許可を得たバンテージのみとし、それ以外のバンテージの使用は一切許可しないものとする。
- 4.4
- インスペクターによるバンテージチェックを受けた後、インスペクターはバンテージに検査済みと記し、その後、選手はグローブ装着することができる。
ルール5 ユニフォーム
- 5.1
- 選手のドレスコード
- 5.1.1
- 選手は試合時に腿の半分の丈の清潔なショーツを着用しなければならない。またシャツは着用しない。
- 5.1.2
- 選手は膝蹴りや他の下腹部への攻撃から守る為、必ず強い素材で出来ているファールカップを着用しなければならない。ファールカップは後ろで強く結ぶ。
- 5.1.3
- 選手は試合時は長髪の場合は必ず後ろで結ぶものとする。
- 5.1.4
- モンコンの着用はワイクルー時のみとし、試合中は着用しないこととする。但し、腕周りの腕章や腰部分の飾りは安全を確認した上、試合時でも着用可とする。
- 5.1.5
- 選手はそれぞれの足首にアンクルサポーターの着用は可能とする。但し、すねガードにならない長さとする。また、足及び足首部分のテープの使用は許可しないものとする。
- 5.1.6
- 選手のベルト着用や危険が生じる可能性のある飾り物(装飾品)の着用は許可しないものとする。
- 5.1.7
- 選手の身体部分やグローブへのワセリン、タイオイル等のオイルやバーム、油やハーブ製のオイルの使用は許可しないものとする。(顔に少量のワセリンは可)
- 5.2
- ドレスコードにおける違反行為
試合時選手の着用ユニフォームが汚なかったり、5.1に規定に反する場合、レフリーはこの選手に対しファールの宣告をし、直ちに正すように指示、勧告する権利を有するものとする。 また試合中に選手にグローブやユニフォームが不適当な場合、レフリーは試合をストップしファールを宣告し、直ちに正すように指示、勧告する。
ルール6 階級及び計量
- 6.1
- 試合時の階級
階級 | リミット体重 | |
---|---|---|
6.1.1 | ミニ・フライ級 | 100ポンド(45.354㌔)以上105ポンド(47.627㌔)未満 |
6.1.2 | ライト・フライ級 | 105ポンド(47.627㌔)以上108ポンド(48.988㌔)未満 |
6.1.3 | フライ級 | 108ポンド(48.988㌔)以上112ポンド(50.802㌔)未満 |
6.1.4 | スーパー・フライ級 | 112ポンド(50.802㌔)以上115ポンド(52.163㌔)未満 |
6.1.5 | バンタム級 | 115ポンド(52.163㌔)以上118ポンド(53.524㌔)未満 |
6.1.6 | スーパー・バンタム級 | 118ポンド(53.524㌔)以上122ポンド(55.338㌔)未満 |
6.1.7 | ファザー級 | 122ポンド(55.338㌔)以上126ポンド(57.153㌔)未満 |
6.1.8 | スーパー・ファザー級 | 126ポンド(57.153㌔)以上130ポンド(58.967㌔)未満 |
6.1.9 | ライト級 | 130ポンド(58.967㌔)以上135ポンド(61.235㌔)未満 |
6.1.10 | スーパー・ライト級 | 135ポンド(61.235㌔)以上140ポンド(63.503㌔)未満 |
6.1.11 | ウェルター級 | 140ポンド(63.503㌔)以上147ポンド(66.678㌔)未満 |
6.1.12 | スーパー・ウェルター級 | 147ポンド(66.678㌔)以上154ポンド(69.853㌔)未満 |
6.1.13 | ミドル級 | 154ポンド(69.853㌔)以上160ポンド(72.575㌔)未満 |
6.1.14 | スーパー・ミドル級 | 160ポンド(72.575㌔)以上168ポンド(76.364㌔)未満 |
6.1.15 | ライト・ヘビー級 | 168ポンド(76.364㌔)以上175ポンド(79.379㌔)未満 |
6.1.16 | クルーザー級 | 175ポンド(79.379㌔)以上190ポンド(86.363㌔)未満 |
6.1.17 | スーパー・クルーザー級 | 190ポンド(86.183㌔)以上210ポンド(95.454㌔)未満 |
6.1.18 | ヘビー級 | 210ポンド(95.454㌔)以上230ポンド(104.50㌔)未満 |
6.1.19 | スーパー・ヘビー級 | 230ポンド(104.50㌔)以上 |
- 6.2
- 計量
- 6.2.1
- 選手は試合開始時の24時間前に計量を行う。但し、プロモーターは正当な理由がある場合はこれを変更できるものとする。
- 6.2.2
- 選手はメディカル・ドクターによるフィジカル・チェックを行い、健康上試合に臨んでも問題ないことを確認した後に計量を行うものとする。
- 6.2.3
- 選手のマネージャは計量に立ち会っても良い。
- 6.3
- 計量に関しての規則
- 6.3.1
- 選手は最低100ポンドの体重が無ければいけない。また、5ポンド以上は離れてはいけない
- 6.3.2
- 選手は計量から試合まで最低3時間の休養時間を有さなければならない。
ルール7 儀式及び習慣
- 7.1
- ムエタイの慣習に基づき、選手は試合開始前にワイクルーを踊ることが許可される。ムエタイの伝統音楽の演奏を開始した後に試合開始する。
- 7.2
- 試合のラウンド:
試合は5ラウンドから構成され、1ラウンド3分、インターバル2分で行う。選手の反則や服装を正す為に中断された場合、その時間は試合時間外とみなす。
ルール8 選手資格及び禁止事項
- 8.1
- 最低年齢 15歳
- 8.2
- 最低体重 100ポンド(45.454㌔)
- 8.3
- ドクターのハンドブックに記載された病気を持っている選手は試合に出場できない。
ルール9 セコンド
通常の試合時は、選手のセコンドは2人までとし、試合開始前までにチーフセコンドとアシスタントをレフリーに知らせておかなければいけない。但し、チャンピオンシップ戦に関しては、セコンドは3人とするが、インターバルの最中にリング内に入れるのは2人までとする。
セコンドの役割:
- 9.1
- セコンドは試合中にはアドバイスや勇気付けを行わない。もし、これに反する場合レフリーはセコンドに対し、注意、勧告及びセコンド職の剥奪も行える。
- 9.2
- 試合中、セコンドはセコンド席に座っていることとする。各ラウンド開始前にセコンドはタオル、水のボトルやその他のアイテムを全てリングの上から退けなければならない。
- 9.3
- ラウンド間のインターバルの最中にセコンドは選手の服装をチェックし、正さないといけない。もし何か問題がある場合には、セコンドは直ちにレフリーに知らせ、問題の解決を行う。
- 9.4
- 選手に水の投与をする場合、セコンドはリングを濡らしてはならない。また、選手の身体をタオルで拭かなくてはいけない。
- 9.5
- セコンドは試合中及び試合後に無礼な言葉を使用したり、選手を傷つける行為を行ってはいけない。
- 9.6
- セコンドの服装もきちんとしたユニフォームシャツやジムのシンボルとなる服装をしなければならない。
- 9.7
- セコンドは以下の物品に関しては、個人で手配したものの使用を可能とする。
- 9.7.1
- 水
- 9.7.2
- 氷
- 9.7.3
- タオル
- 9.7.4
- リング・ドクターによって事前に許可された、アドレナリン1/1000含有もしくは同等の止血剤。
- 9.7.5
- ガーゼ
- 9.7.6
- コットンボール
- 9.7.7
- 安全はさみ
- 9.7.8
- 絆創膏
- 9.7.9
- 脱脂綿付きバンドエイド
- 9.8
- 自分の選手の試合を中止する場合は、チーフセコンドがリング内に入ることとし、タオルやスポンジを投げ入れないこととする。
ルール10 レフリー
レフリーは青もしくは黒のズボン、青あるいはソフトな色目のシャツもしくはかぶりもののシャツ、左胸部分にWBCのエンブレム(紋章)を付け、軽い靴を着用する。眼鏡やそれ以外の装飾品の着用は認めない。また、手の指のつめは短く手入れをする。
- 10.1
- レフリーの仕事
- 10.1.1
- レフリーの仕事は決して弱い方の選手を怪我から守ることではない。
- 10.1.2
- レフリーはいかなる時も“ルール公正さ”に準じないといけない。
- 10.1.3
- レフリーは常に試合をコントロールしないといけない。
- 10.1.4
- レフリーは試合開始前に、選手のグローブ、服装、マウスピースをチェックしなければいけない。
- 10.1.5
- レフリーは以下の3つの指揮を使用しないといけない。
(YUD/ストップ) 選手の攻撃を止める。
(YAK/ブレーク) 組んでいる選手を離す。ブレークの支持の後、選手はお互いに1歩以上離れなければならず、一旦離れてから再度攻撃を再開する。
(CHOK/ボックス) 選手にファイトを促す。 - 10.1.6
- レフリーは攻撃選手のファールを明確に伝えるサインを出さないといけない。
- 10.1.7
- レフリーは危険をはらんだ反則行為等により選手の失格をもしくは試合を停止する場合、レフリーは停止後即座にリング・オフィシャル会長に対し、試合停止の理由を報告することとする。
- 10.1.8
- レフリーは故意による反則行為を阻止しなければならない。
(例えば 蹴りや膝による攻撃のためにロープをつかむなど) - 10.1.9
- レフリーは特定の選手に対し、有利または不利に働く状況を阻止しなければならない。
(例えば カウントを早めたり遅める行為、必要でない時に注意をしたり、必要時に注意を行わない等) - 10.1.10
- 試合終了時、レフリーは即座に3人のジャッジからスコアーカードを回収し、判定により勝利を得た選手サイドのコーナーを示した後、勝利選手の手を掲げる。その後レフリーはスコアーカードをリング・オフィシャルに渡し、リング・オフィシャルはチェックを行う。
- 10.1.11
- レフリーはリング・オフィシャルの許可がある場合以外は、試合の批評及び今後または既に行われた試合の勝敗に関してのインタビューに答えたり、意見を述べてはいけない。
- 10.2
- レフリーの任務
- 10.2.1
- 片方の選手が大差で勝った場合もしくはワンサイドゲームで一方的に試合を支配した場合、試合をとめる。
- 10.2.2
- 片方の選手が試合続行に支障を来たす危険をはらんだ怪我をした場合、試合をとめる。その際、レフリーはまずリング・ドクターに相談し、リング・ドクターの判断に従う。
- 10.2.3
- 選手が故意に試合進行を妨げていると判断され、試合を停止した場合は、一方又は両選手とも失格処分となる。
- 10.2.4
- カウントを続けることにより、選手が非常に危険な状態に陥る危険がある場合はカウントを辞め、試合停止を行う。
- 10.2.5
- ダウンさせた選手がニュートラルなコーナーに行かなかったり、カウントが終了する以前にニュートラルコーナーから離れた場合はカウントを停止する。
- 10.2.6
- ルール違反時等には、公正性の確認またはルールの強化および再確認を行うために攻撃を中断させる。
- 10.2.7
- レフリーの指示を無視する、レフリーに危害を加えるあるいは試合中レフリーを傷つける行為を行った選手を失格処分とする。
- 10.2.8
- ルールに従わないセコンドを任務からはずす。また、ルールを守らないセコンドの選手を失格処分にする。
- 10.2.9
- ルールに激しく違反した選手に対しレフリーは失格処分にする権限もしくは、注意・警告をした、しないに関わらず、試合を“没収試合”(ノーデシジョン)とすることが出来る。
- 10.2.10
- ルール違反した選手に対し注意を行う前に攻撃を停止させ、ルール違反の内容に対し説明し注意を行う。
レフリーはハンドシグナルにてジャッジに対し、選手に注意を促したことを伝える。レフリーは注意を3回受けた選手に対し失格処分あるいは“没収試合”(ノーデシジョン)とする。3回の注意を受けていない場合でも、危険を伴う攻撃の場合は選手を失格処分とする。 - 10.2.11
- 「注意」:レフリーは選手に対し、注意を勧告する権限がある。注意とは選手に対し、気をつけることを告げる行為である。これにより、選手が知らずにルール違反を行うことを阻止する。
- 10.2.12
- ステージ部分外でのカウント
- 10.2.12.1
- 正当なる攻撃により、相手選手がリングのステージ部分外に落ちた場合は、攻撃した選手を遠い方のニュートラルコーナーに行かせる。もし、攻撃された選手がリング内に戻るのに時間がかかっている場合は、レフリーは直ちにカウントを始める。
- 10.2.12.2
- 選手がリング外に落ちた場合、レフリーは20カウントする。
- 10.2.12.2.3
- 両方の選手がリング外に落ちた場合、レフリーはカウントを行う。もし、どちらかの選手が試合再開を遅らせた場合、レフリーはカウントを停止し、注意・勧告する。その後、レフリーはカウントを再開する。それでも指示に従わない場合は、レフリーはその選手を負けとするもしくは、“没収試合”(ノーデシジョン)とする。
- 10.2.12.2.4
- 両方の選手がリング外に落ちた場合、レフリーはカウントを行う。どちらか片方の選手のみが20カウント以内でリングに戻った場合は、その選手を勝者とする。 しかし、双方の選手が20カウント以内にリングに戻らなかった場合は、レフリーはその試合を引き分けとする。
- 10.2.13
- ルールの通訳を行う。またはルールブックに記載されていないルールの説明を行う。
ルール11 ジャッジ
ジャッジはレフリーと同様の服装にて任務を行う。ジャッジングの最中は眼鏡の着用可。ジャッジの任務は以下の通り。
- 11.1
- それぞれのジャッジは観客から離れたそれぞれの側に着席する。試合中はジャッジは選手や他の人と会話をしてはいけない。レフリーに報告する時に限り、ジャッジはラウンド間にインターバル中にレフリーと会話することが許可されている。 例えばセコンドの不正やロープの緩み等。
- 11.2
- ジャッジはルールに従い自らの意思で採点を行わなければならない。それぞれのラウンド終了時即座にジャッジはスコアーカードにスコアを記入しなければならない。ジャッジはそれぞれのラウンドにて双方の選手のスコアーをそれぞれ集計する。レフリーに渡す前に、勝者を明確にし、署名をする。
- 11.3
- ジャッジはレフリーが試合の結果を公表するまでは、離席をしてはならない。
- 11.4
- ジャッジはリング・オフィシャルの許可がある場合以外は、試合の批評及び今後または既に行われた試合の勝敗に関してのインタビューに答えたり、意見を述べてはいけない。
ルール12 リング・オフィシャルと会長
- 12.1
- リング・オフィシャルの任務は以下の通り:
- 12.1.1
- 試合においてレフリーとジャッジを認定する。
- 12.1.2
- ルールに基づいて、ジャッジとレフリーの職務実行状態を管理する。
- 12.1.3
- ルールに基づいて、ジャッジとレフリーの職務実行状態を監督する。もしレフリーもしくはジャッジの任務遂行に関し間違いや能率が悪い場合、リング・オフィシャルは、プロモーターに報告する。
- 12.1.4
- 試合に関して問題が生じた場合は、直ちにプロモーター報告する。
- 12.1.5
- 全ての意思決定に関して、レフリーとジャッジにアドバイスを与える。
- 12.1.6
- スコアーの集計、選手名、勝者、ジャッジの書名を確認し、全てのスコアーカードを照合する。照合した後、リングアナに報告し、リングアナは観客にアナウンスする。
- 12.1.7
- 選手が故意にルール違反を行い、スポーツマンシップに反するような行為を行った場合、プロモーターに報告し、コミッションに報告してもらう。
- 12.1.8
- 万が一、何らかの理由により、ジャッジやレフリーの任務の遂行が不可能になった場合、速やかに試合続行を行えるようにする。
- 12.2
- リング・オフィシャルの権限
次の状況下のみ、リング・オフィシャル会長はレフリーとジャッジの判定を覆すことが出来る。
- 12.2.1
- レフリーの行為及び判断がルールに反する場合
- 12.2.2
- ジャッジが集計結果を間違えて、試合の結果が間違って報告された場合。
ルール13 タイムキーパーとアナウンサー
- 13.1
- タイムキーパーの任務:ラウンド数、各ラウンドの試合時間、ラウンド間のインターバルの時間及びラウンド開始時間の管理。
- 13.1.1
- ベルにより各ラウンドの開始及び終了を知らせる。
- 13.1.2
- 各ラウンド開始5秒前に知らせ、試合開始に備えリング内の物を移動させる。
- 13.1.3
- レフリーの指示によりストップされて試合の中断時に試合時間を停止する。
- 13.1.4
- ストップウォッチにより常に時間の管理を行う。
- 13.1.5
- レフリーがカウントしている最中は、たとえ試合時間がカウント中に終了したとしても、カウント終了までベルを鳴らしてはいけない。レフリーが試合再開後、ベルを鳴らしても良いものとする。
- 13.2
- アナウンサーの任務
- 13.2.1
- 選手がリング内への登場後、選手名、ジム名、コーナー、体重を観客に向かい告知する。
- 13.2.2
- タイムキーパーよりラウンド開始5秒前の報告時にセコンドに対しリングを離れる様注意する。
- 13.2.3
- 各ラウンドの開始及び終了を告知する。
- 13.2.4
- 両選手のスコアーを読み上げ、勝者を告知する。
ルール14 結果
- 14.1
- 判定による勝者
試合終了後、ジャッジの過半数から勝ちをとった者を勝者とする。 - 14.2
- ノックアウト(KO)による勝者
選手がノックダウンにより倒れ10カウント以内に戦いを再開できない場合は、相手選手の勝利とする。 - 14.3
- テクニカル・ノックアウト(TKO)による勝者
- 14.3.1
- 片方の選手が明らかに優勢な場合もしくはワンサイドゲームで一方的に試合を支配した場合や相手選手が危険を伴う怪我をした場合。
- 14.3.2
- ラウンド間のインターバル中に回復せず、次ラウンドの戦いが不可能な場合。
- 14.3.3
- 相手選手が危険を伴う怪我をし、試合続行が不可能な場合。
- 14.3.4
- 相手選手が1ラウンド中に3回、または一試合中に5回ダウンを取られた場合。
- 14.3.5
- 相手選手がリングの外に落ち、20カウント以内にリング内に戻って試合再開が出来ない場合。
- 14.3.6
- 怪我や他の理由により、相手選手が明らかに戦意を喪失した場合。
- 14.4
- 相手選手の失格による勝利
レフリーからの注意の有無に関わらず、相手選手の悪質な反則行為により相手選手が失格処分になった場合。 - 14.5
- 不戦勝
リング・ドクターによりフィジカル・チェックで試合不可能となった場合、計量オーバー又は試合時間への遅刻の場合は、相手選手の不戦勝とする。 - 14.6
- 引き分け
次の状況においては試合結果を引き分けとする。
- 14.6.1
- ジャッジによる過半数の判定結果が“引き分け”となった場合。
- 14.6.2
- 両選手が共にダウンを得10カウントを得た場合。
- 14.6.3
- 両選手が共にリングの外に落ち、20カウント以上受けた場合。
- 14.6.4
- 両選手が共に危険を伴う怪我をし、試合続行が不可能とされる場合。
- 14.7
- 没収試合(ノーデシジョン)
レフリーが片方もしくは両方の選手が“八百長試合”を行っていると判断した場合、勝敗なしの試合する。 - 14.8
- 無効試合(ノーコンテスト)
両方の選手がレフリーの注意を受けたにも関わらず、無気力な試合を行った場合にレフリーはこの試合を無効試合とし、試合を終了させる。 - 14.9
- キャンセル試合
リングのダメージ、観客により暴動その他試合進行が不可能な状況の場合、レフリーは“キャンセル試合”とする。
ルール15 スコアリングの手順
下記の基準に基づいて行う。
- 15.1
- 選手がルールに従い、対戦相手に対し、パワフルそして正確に、ムエタイにおける8つの武器(拳、肘、膝及び足)を使用した場合。
- 15.1.1
- ムエタイの武器を使用し、相手選手に対しより多く攻撃をした選手がラウンドを勝つ。
- 15.1.2
- より重く、力強い攻撃を行った選手がラウンドを勝つ。
- 15.1.3
- ムエタイの武器を使用し、相手選手に対しよりダメージを与えた選手がラウンドを勝つ。
- 15.1.4
- より積極的で攻撃的な姿勢で戦った選手がラウンドを勝つ。
- 15.1.5
- 攻撃の技術、防御の技術、捕らえられにくい技術、反撃の技術の優れている方の選手がラウンドを勝つ。
- 15.1.6
- ルール違反をした選手はラウンドを勝ちにくい。
- 15.1.7
- スコアーになりにくいとされる行為の基準
- 15.1.7.1
- ムエタイの武器を使用しているが、ルールに反した場合。
- 15.1.7.2
- ムエタイの武器により対戦選手の腕や足に攻撃しているが、しっかり防御されている場合。
- 15.1.7.3
- 攻撃がパワーの無い、弱い場合。
- 15.1.7.4
- 相手を攻撃する為に蹴り、相手選手に足を取られた場合、蹴った方はポイントを得るが、もし蹴った方の選手が故意にリングに倒れた場合、この選手はルール違反とみなされポイントは得ないものとする。
- 15.1.7.5
- ムエタイの武器を何も使用せず、リングに相手選手を倒した場合。
- 15.2
- 試合のスコアリング・システム
- 15.2.1
- 各ラウンド共、勝者は10ポイント・フルポイントを得、対戦相手は9,8,7点といったポイントになる。ポイントは、僅差で付けられるわけではない。
- 15.2.2
- 同点に場合は、各ラウンドとも両選手とも10対10ポイントとなる。
- 15.2.3
- 勝者は10ポイントで敗者は9ポイントとなる。
- 15.2.4
- 明らかに一方が優勢であったラウンドに関しては、勝者は10ポイント、敗者は8ポイントとなる。
- 15.2.5
- ラウンド中にどちらかが1回ダウンを取った場合、そのラウンドに関しては、ダウンを取った勝者は10ポイント、ダウンを取られた敗者は8ポイントとなる。
- 15.2.6
- ラウンド中にどちらかが1回ダウンを取り、ダウンを取った選手が明らかに優勢であったラウンドに関しては、勝者は10ポイント、敗者は7ポイントとなる。
- 15.2.7
- ラウンド中に2回ダウンを取った場合は、そのラウンドに関しては、ダウンを取った選手が10ポイント、敗者が7ポイントとなる。
- 15.2.8
- ラウンド中にレフリーから「警告」を受けた選手は、1ポイントの減点となる。
ルール16 ルール違反行為
下記のような行動を行った選手はルール違反となる。
- 16.1
- かじる、目をつつく、相手選手につばを吐く、相手を挑発するように舌を出す、頭突きやバッティング。
- 16.2
- 投げ、さば折り、相手選手の腕をロックする、柔道やレスリングの技を使用する。
- 16.3
- 既に倒れている選手もしくは起きようとしている選手への攻撃。
- 16.4
- 攻撃や他の目的でロープを握る。
- 16.5
- 試合中の相手を挑発する行動や言動。
- 16.6
- レフリーの指示を無視する。
- 16.7
- 故意に相手選手のファールカップもしくは下腹部への攻撃、下腹部への膝の攻撃のために首をつかむことや下腹部をめがけての飛び膝攻撃。下腹部への攻撃があった場合、レフリーは下腹部に攻撃を受けた選手に対し、5分以内のリカバリー時間を認める。この5分以内に攻撃された選手が試合再開をしない場合、この選手の負けもしくは、没収試合(No Decision)とする。
- 16.8
- 相手の足をキャッチし、攻撃を与えず2歩以上前方に押した場合。レフリーはこの選手に対し、前方に動くことを停止させ注意をする。注意を2回以上受けた場合は、警告とする。
- 16.9
- 蹴った足を相手にキャッチされた方の選手がリングに倒れようとする行為に対し、レフリーはこの選手に対し、注意をする。同様の行為を2回以上繰り返して行った場合はレフリーはこの選手に対し、「警告」を与える。
- 16.10
- 両選手ともリング外に落ちたとき、どちらかの選手が故意に試合進行を遅らせる行為。
- 16.11
- ルールブック及び法律にて禁止されている薬物等の使用。
- 16.12
- いずれかのルール違反。
ルール17 ノックダウン
- 17.1
- ノックダウンとは、相手選手の拳、足、膝及び肘により次の基準において倒れた場合とする。
- 17.1.1
- 足の裏以外のいかなる場所がリングに触れた場合。
- 17.1.2
- リングのロープにもたれかかり立っている、寄りかかっているあるいは座っている場合。
- 17.1.3
- 身体のいかなる部分、あるいは身体全体がリングの下に落ちた場合。
- 17.1.4
- 深刻な攻撃を受けたが倒れず自力でもち直したが、自分自身を防御することが不可能な状態だと判断された場合。
- 17.2
- ノックダウンの手順
- 17.2.1
- 片方の選手が攻撃を受けノックダウンされた場合、レフリーはカウントを始めると同時に、ダウンをさせた選手を即座に遠い方のニュートラルコーナーに行くように命じる。もしこれに従わない場合、レフリーはこの選手がニュートラルコーナーに移動するまでカウントを停止する。ニュートラルコーナーに移動したことを確認した後、カウントをストップしたところから再度カウントを再開する。ダウンした選手が立ち上がり、試合続行が可能だと判断された場合レフリーは試合を再開する。
- 17.2.2
- ダウンを受けた選手が10カウント以内に立ち上がった場合でも、レフリーは8までカウントを続けなければならない。
- 17.2.3
- ダウンを受けた選手が10カウント以内に立ち上がったが、攻撃を受ける前に自ら倒れてしまった場合、レフリーはそれまでのカウントを続行する形でカウントを再開する。
- 17.2.4
- ダウンを受けた選手が10カウント以内に立ち上がれなかった場合、レフリーは試合終了及び“ノックアウト”による試合終了を宣告する。
- 17.2.5
- もし、両選手が同時にリングに倒れた場合、一人でも選手が倒れている限り、レフリーはカウントを継続する。10カウント以内に両選手共立ち上がれない場合レフリーは“引き分け試合”とする。倒れている選手達の腕が絡まっていたり、片方の選手が他方の選手の上になっていたりして起きられない場合、レフリーはカウントを中断して両選手を離さなければならない。離したのちにまだ両方もしくは片方の選手が倒れている場合はレフリーはカウントを継続する。
- 17.2.6
- ノックダウン時にレフリーはカウントを始める前、1秒間置かなければならない。1秒のインターバルの後、1から10まで数える際 尚、レフリーはカウント時に手を使用し、選手に対しカウントがわかりやすいようにする。
- 17.2.7
- ラウンド間のインターバルが終わっても、どちらかの選手がすぐに試合を再開しない場合、レフリーは服装の乱れ、リングの不備等が無い限り試合を開始する。
ルール18 握手
両選手はスポーツマンシップに乗っ取り、またルールに従って戦うということを宣言する上で、最初のラウンド及び最後のラウンドの開始時にお互い握手をする。
ルール19 リング・ドクター
リング・ドクターの任務:試合開始から終了までリング・ドクターは用意されて席にいることとする。以下リング・ドクターの任務とする。
- 19.1
- リング・ドクターは選手の計量前にフィジカル・チェックを行い、出場選手が肉体的に問題なく、健康、試合に臨むことが出来る状態かどうか、またBoard of Boxing Sportの規定に準じ、試合を行うことが禁止されている伝染病や病気にかかっていないことを確認する。
- 19.2
- 要求された場合、レフリーへアドバイスや助言を行う。
- 19.3
- 選手が意識不明になった場合、リング・ドクターのみがリング内に入れる。リング・ドクターが協力を必要とする場合のみ、他の人々はリングに入ることが出来る。
- 19.4
- ノックアウト及びテクニカル・ノックアウト時に即座に検査し、必要な治療を行う。
- 19.5
- 試合後に選手の診断し、下の規定に沿い次の試合までの期間を通告する。
- 19.5.1
- 5ラウンドの試合後、次の試合までの期間は21日間空けることする。
- 19.5.2
- 1ラウンドで勝った場合、次の試合までの期間は7日間空けることする。
- 19.5.3
- 3ラウンドで勝った場合、次の試合までの期間は14日間空けることする。
- 19.5.4
- ノックアウトもしくはテクニカルノックアウトで負けた選手は、最低30日の休養を行う。試合中に頭部への連続攻撃によりダウンを受けた選手は、最低90日間の休養期間とし、ドクターの許可を後に試合出場を再開できる。
ルール20 ドラッグ及び禁止薬物
- 20.1
- 日常摂取している食事以外のドラッグや薬物を選手に摂取させてはいけない。
- 20.2
- リング・ドクターの許可の元のみ、麻酔の使用が許可される。
- 20.3
- 使用禁止薬物はルールブックの規定に準じる。
- 20.4
- 使用禁止薬物を使用した選手、及び選手に与えた者は法律(規律)に基づき罰せられる。
- 20.5
- 法的使用禁止薬物を使用した選手及び関係者は、いかなる試合への参加及び活動を一切禁止する。
- 20.6
- 薬物検査に臨まない選手は試合への出場を禁止する。
ルール21 解釈
試合時にルールに記載のない問題が生じた場合、レフリーまたはリング・オフィシャルが決定権を持つ。
反則行為の例:
柔道及びレスリングの投げ/攻撃選手は黒のトランクス
- 前足をぶどうのつるの様に絡めて内側から投げる
- 前足をぶどうのつるの様に絡めて外側から投げる
- 攻撃者の足を対戦相手の足にからめ、内側から投げる
- 腕が上半身を固め外側から力任せに投げる
ネックロック及び肩での投げ
- 攻撃選手が相手選手の首を固め、上に持ち上げるために外に一歩動いて肩を軸にして投げる
ネックロック及び腰での投げ
- 上記と同様で腰で投げる。
ウエストロック及び腰で投げる
- ネックロックと同じ
腕をロックして足払い、肩での投げ
- 攻撃者左腕で対戦相手の右腕を持ち、右腕を対戦者に脇にスライドさせた後、同じ方向に投げ同時に右足で相手の足を払いながら、投げる
身体を折りながら払い及び投げ
- 攻撃者が対戦者の左肩のあたりを持ち、折れるような体制で右足を払う。
身体を折りながら内側の足を払い、投げる
- 同上、但し対戦者の内側の足を払い投げる
自分が倒れながらの投げ
- 攻撃者左手で対戦者の右腕を持ち、右手は対戦者の身体を押さえ、左に回り倒れると見せかけて脱力状態になり相手を投げる
タックルして足を引いて投げる
- 腕を足にからめ攻撃者がかかんでタックルを仕掛け、引いて転ぶ。
抱えて後ろに投げる
- 攻撃者は後ろから対戦者に腰に抱きつき、膝その下に入れ、引いて横に動かしながら後ろに投げる。
抱えて投げる
- 攻撃者が対戦者を抱きかかえて投げる。
前に押す
- 片足を捕らえ、前に押しながらのもう一方の腕で顔や胸を押す。
足を抱えて足払いもしくは足を踏み外す
- 片足を抱えると同時に足払いを行う。
下の足の膝攻撃によるスゥイーピング
- 攻撃者が対戦者を膝で攻撃した場合、立っている足を払い、内からもしくは外からの投げ
様々なロッキングの技術
- 首ロック(左)
- 半分ネルソンロック(中央)
- 腕ロック(右)
- 前からのウエストのロック(左)
- 後ろからウエスト部のロック(中央)
- 頭によるからだの上部分のロック(右)
- 両方の選手による首の後ろからのロック(左)
- 肘ロック(中央)
- ウエストのロック 背中のロック(右)
足首の払い
- 対戦相手の首、腕を抱えながら、左に力を移動させ右足で対戦相手の左足を払いながら投げる。
内側からの足払い
- 対戦相手が立っている場合、攻撃者は対戦相手との距離をとり足払いを外側からかけ、投げる。